星野リゾート界遠州リニューアルに伴い設計した「遠州綿紬庵」である。 星野リゾートの温泉旅館ブランドである“界”では“ご当地楽”と称し、立地する場所の魅力を体験できるプログラムを用意している。浜松市にある界遠州では、日本一のお茶処にちなんだ“美茶楽”として、お茶を使った様々なおもてなしを行っている。お茶のウエルカムドリンクもそのひとつとして、季節ごとに用意された12種類のお茶の中から宿泊客自らが好きな茶葉を選び、提供されている。 「遠州綿紬庵」はそのお茶を選ぶための場所としてデザインされた。単にお茶を選ぶ場所としてだけでなく、小さな空間に入りお茶を選ぶという行為を通して、日常生活から温泉リゾートという非日常へと切り替わるきっかけとなるような空間を目指している。浜松の伝統的織物“遠州綿紬”と和紙から透過したやわらかい光によって、そのような空間を演出したいと考えた。